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従業員のやる気を高める目標設定

「従業員のモチベーションが高まる目標設定をしたい」「目標は押し付けでなく、自主的に決めて欲しい」などと

いった声を聞きます。

 

皆さんの会社ではどのように社員の目標を決めていますか?

 

会社によって、目標の決め方はそれぞれだと思います。

ここでは、どの会社にも共通する目標設定時の留意点をお伝えしたいと思います。

 

1.従業員の目標設定にコーチングを活用する

 

従業員は自ら決めた目標だからこそ、実現に向けてやる気が湧くことはいうまでもありません。

しかし、会社全体で掲げた目標もあり、従業員だけで決めた目標をいたずらに認めるわけにもいきません。

そこで、経営者は目標を押し付けるのではなく、アドバイスを与えながら妥当な目標設定を従業員自身に行わせます。

 

これは、魚釣りによく例えられますが、釣った魚を与えるのではなく(ティーチング)、魚の釣り方を教える(コーチング)やり方です。

 

コーチングは、従業員自身に考えさせ、気づかせ、そして答えをみつけさせていく手法で、個々人の特徴を活かして最大の成果を出せるように導いていきます。

 根気がいることで、ついつい結論を急ぎがちですが、そこをぐっと堪えて相手の話をじっくりと聞くことからはじめます。目標設定のプロセスが大事ですのであせらず対応することが肝要です。

 

そして、従業員と考えをすり合わせる際に大切な事は、「従業員個人のビジョンや考え等を確認すること」です。

 

従業員個人の目標達成が、会社のためのみならず、一人ひとりの夢をかなえていくために役立つと認識させるとモチベーションがぐんと上がります。

単に目標管理だけされていても従業員は自身の夢の実現と結びついているか疑問に感じ、仕事の意義を見出しづらくなります。

従業員の夢を把握し、会社ビジョンとのつながりを示してあげることができれば、手を掛けなくても従業員は能動的に動きます。

 

2.従業員の成長度合いによって目標を使い分ける

 

従業員の個人目標として売上目標だけを立てていませんか?

しかし、従業員の中には「目標に向けて何をすればいいのかがわからないとがんばれない」といった指示待ち型の者もおり、モチベーションの低下を招いているケースがあります。

 

従業員のやる気を高めるためには、売上金額や販売数といった数値結果だけの目標ではなく、それにいたるまでのプロセスを目標として設定することも大切です。

プロセスを目標として設定することによって、従業員の特性や能力に応じた、より効果的な目標設定が可能となるからです。

 

具体的には3種類の目標があります。

 

① 誰でも達成可能な「行動目標」

 

ここでは電話勧誘による商品販売を扱うビジネスを例にとります。

従業員個人の目標を「月間売上300万円」と設定したとします。

当然、ただ電話を掛けただけでは販売につながりません。効率よく販売するために「勧誘する顧客リストの作成」を「行動目標」として設定させることが有効です。

 

よって、そのリストに基づいて、どう対応できたかが成果となります。売上につながったかどうかは問題にしません。やる気さえあれば、誰にでも達成可能な目標を設定します。

 

② 営業へのつながりを評価する「成果目標」

 

次に行動した結果から生じる何らかの成果を目標にする「成果目標」があります。

 

たとえば、電話勧誘を例にとると、勧誘リストに基づいて「何人に電話をしたか」が「成果目標」あたります。

販売するために何名のお客様と対応すべきかを考えて行動できるようになれば営業ステップが前進したことになります。

つまり最終的な販売に向けた具体的な成果といえるわけです。

一定の経験を積んだ従業員には、どうすれば営業ステップを効率的にあがっていけるかを考えさせながら目標を立てさせることが効果的です。

 

③最終的なゴールを評価する「結果目標」

 

「月間売上300万円」がこれにあたります。

最後に本来の目的が達成できたかどうかを評価する「結果目標」です。

ここでは単純に「300万円売れたかどうか」という最終成果のみを評価します。

 

以上の目標設定は、モチベーションが低下していると思われる従業員にも有効です。

成績不振で落ち込んでいる従業員に対しては、「とにかく行動する」ということに重きを置き、成功経験を積ませて自信を取り戻させることが必要で、「行動目標」をうまく組み合わせながら育成していきます。

 

以上のとおり、上記3つの目標は部下の能力や特性に応じて組み合わせて使うと効果的です。

たとえば、まだ実力がない若手従業員に対しては、「行動目標」や「成果目標」を中心とし、それを達成することで自信をつけさせることが考えられます。

逆に経験豊富な従業員に対しては「行動目標」や「成果目標」はあまり重視する必要はありません。

彼らは自分なりの方法論をもっていることが多く、その場合は受注までのステップは本人に任せて「結果目標」のみの設定でも可能です。また自分のもつ方法論を若手に伝えることを別途目標として設定することも有効です。

 

<本日のまとめ>

●従業員の目標設定にコーチングを活用する

 ・目標設定は上からの押し付けではなく、従業員自信に考えさせ、設定させる。

 ・特に、従業員個人のビジョンや考え等を確認し、会社ビジョンとのつながりを示してあげる

 

●従業員の成長度合いによって目標を使い分ける

 ・目標には「行動目標」「成果目標」「結果目標」の3種類がある

 ・成熟度やモチベーションの低い従業員には行動目標や成果目標を中心に、成熟度やモチベーションの高い従業員

  には成果目標、結果目標を高めに設定する

 

今日はここまでです。

皆さまの会社での従業員目標設定に少しでもお役に立てましたなら光栄です。