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顧客関係性の強化2

顧客の優良化(ロイヤルカスタマー化)はどのような効果をもたらしてくれるのでしょうか?

優良顧客は口コミで他者に紹介してくれる効果があります。

加えて、値引きなしでの購入や新商品購入への抵抗も少ないなどが特長で、広告宣伝コストをかけなくて済むなどの効果をもたらしてくれます。

 

前回、既存顧客との関係性強化には、自社への愛着や信頼が必要で、そのためにはビジョンや理念などを発信し、ブランドに共感を得ることが大切だとお話しました。

 

私が関わった健康食品を製造・販売(通販)する会社を例にとり、優良顧客化へのポイントをお伝えしていきたいと思います。

 

現社長(娘さん、50代)は事業を引き継いで2年近く経っていましたが、新しい社長としての挨拶や思いが積極的に発信されていませんでした。これは既存の顧客からみれば、「どんな社長が事業を引き継いでいるのか」「これからも商品を変わらず提供してくれるのか」「もっといい商品を開発しようしているのか」など不安や期待があったと思います。

それを裏付けるような声も届いていました。

消費者は経営者の素顔が見えないと不安を感じ、共感や愛着が沸きにくくなり、関係性は進展しません。

そこでこの会社に対して、新社長の言葉で情報発信(ホームページ)を積極的に行うよう提案しました。

 

◆共感を得るブランドにはストーリーがある

 

先代の社長は、自分が疲れていた時にこの健康食品と出会い、効果を実感しました。以来、健康になりたい方に親身な対応で商品を提供し、出版などを通じた体験談を紹介するなど普及に務めました。相互扶助を理念とし、困っている方に寄り添う方で信頼されていました。

こういった、人にまつわる物語(ストーリー)は共感を呼びます。経営者として自分の身の上をさらけ出すのは恥ずかしいかもしれませんが、感情や情緒に訴えることはとても有効な手段なのです。多くの経営者は少なからず苦労をされているはずです。

是非、自分のプロフィールを可視化してみましょう。

 

◆理念やビジョンを従業員に浸透させる

 

いくら共感を得るストーリーがホームページなどに掲載されていても、応対する従業員からそれを感じることができなければお客様は離れて行ってしまいます。朝礼などの機会を利用し、理念やビジョンを従業員に再確認させましょう。

 

◆優良顧客とのリアルな接点をもつ

 

この会社は通販の会社でしたが、先代の社長はお客様の悩み事や不安をお聞きする相談の場を設けていました。連日、大勢の人が訪ねてきたようです。

現社長になって、地方の百貨店の催事に出店するようになりましたが、その際、近隣の愛用者がわざわざ足を運び、感謝されることもあるとお聞きしました。

リアルな接点は顧客との関係性をより強化するうえで重要なポイントです。この会社には地方に行く際は、事前に告知し、愛用者の皆様方に集まってもらい、セミナーや懇親を深める場を提供することで優良顧客との関係あるいは優良顧客どうしの絆を強めることを提案しました。これができると何もしなくても彼らが友人に商品を紹介するなど「販売員」になってくれるからです。

 

以上のことができればわざわざ高い広告料を払って新しい顧客を獲得するようなことをしなくても自然と顧客が増え、売上が伸びていきます。

既存顧客との関係性強化で優良顧客し、売上を拡大するとともに優良顧客による新規顧客開拓で広告・宣伝費を削減しましょう。

 

<今日のまとめ>

●顧客の共感を得るブランドには経営者のストーリー紹介がある

●現場に理念やビジョンを浸透させなければブランドは構築できない

●リアルな接点は顧客関係性強化に有効な手段