売上高減少(飲食店)の要因はどのように分析していますか?
「売上高減少=注文客数の減少×客単価ダウン」ですが、減少要因として想定される問題点を深堀りしないと打ち手が的外れなものとなってしまいます。
私が関わった焼肉店のケースで考えてみましょう。
店長は今スグでないにしてもこのままでは売上が減少するだろうという危機感を抱いていました。
それは「来店頻度の減少」が起きるだろうと。そしてそれは「アルバイトの接客力低下」で起こると心配していました。なぜなら、アルバイトがお客様対応に馴染めていないと感じていたからです。
店長は、焼き加減のわかりにくい部位の肉に対し、「自分がお客様の七輪で肉を焼いて見せ(この店はお客様が自分のテーブルにある七輪で肉を焼くスタイル)、お客様との会話の中で当店の自慢や肉の品質、追加注文などをアピール」していました。これが店長にとっては理想の接客でした。
しかし、アルバイトには、口頭でそれらを教えてもなかなか実践できないことが不満で、アルバイトの接客力を問題視していました。
●来店客アンケートによる分析
しかし、実際、来店客アンケートを実施したところ、アルバイトの接客品質には不満がないことがわかりました。
つまり、店長の理想が高かったわけで、お客様の店離れを起こすほど接客力が低いわけではなかったわけです。
次に「来店頻度の減少」が見られる場合、お店の魅力が低下している可能性があります。
是非、接客力の検証同様、来店者アンケートもしくは競合店調査を実施し、「接客力の低下」なのか「商品力(品揃え)の低下」なのかを検証することが大事です。
来店者アンケートについては、「google form」という無料のアンケートシステムを利用すれば、QRコードを読ませたうえでスマホで投入することができ、アンケートを依頼する側(お店)も記入する側(お客様)も省力化が図れるため、おススメです。
●通行量調査、商圏データによる分析
次に「店前通行客数が減少」している場合です。このような外的要因は、周辺立地環境や競合状況の変化に依拠する部分が多いと思われます。それらを検証するためには通行量調査、商圏分析が有用です(詳しい、調査・分析方法は別の機会でお伝えします)。
実は、このお店の周辺には若いファミリー層が増えていることが商圏分析よりわかりました。
品揃えやテーブルなどファミリー向けの対応ができれば、そういった客層を取り込むことができます。
「入店率がダウン(入りにくい)」「店頭立寄り率のダウン(足を止めさせていない)」の問題点としては、店頭訴求力、店内見通し、ショーウィンドウなどに問題がないか確認します。
このお店の場合、ファミリー層(特に幼児)対応ができるような個室やベビーカーの置き場、食器類の用意などが店頭で情報提供できていないため、上述のようにこの層を取り込むのであればそういった配慮も必要となってきます。
なお、ファミリー層の受入れ環境が整っていることはホームページ(あれば)や食べログなどに掲載するとともに店頭でもしっかりと訴求するようにします。
●競合店調査による分析
次に「客単価ダウン」の場合です。
考えられる原因は「メニュー単価のダウン(値下げ)」や「注文点数減少」に分解して考えます。
「注文点数減少」の原因は、メニュー表、接客力、店内販促、POP、サイドメニュー、ドリンクの注文などに問題がないか確認します。
これらは、「来店客アンケート」の確認に加え、「競合店調査」を実施し、比較して分析します。
<今日のまとめ>
●売上高減少=注文客数の減少×客単価ダウンだが、その要因は思いつきでなく客観的な分析が必要
●分析にあたっては、売上高減少要因の仮説を立てる
●仮説を検証するために仮説に合わせた調査分析を実施する